舌の付け根あたりにある扁桃は、鼻や口から体内に細菌が侵入することを防ぐ役割を持つリンパ組織です。扁桃炎はこの扁桃が腫れ、高熱や全身倦怠感などに加えて、食事がしにくくなるほどの喉の強い痛みを起こすこともあります。腫れる部分が大きいので高熱が数日持続しやすく、点滴が必要なほど悪化することもあります。小さいお子様に多いですが、大人も発症します。何度も繰り返し発症する習慣性扁桃炎の場合や、睡眠時無呼吸症候群との関連がある場合は扁桃の切除手術を行うこともあります。

喉を酷使したり、発声方法が適切でないことなどが原因で声帯に膨らみ(ポリープ)ができることがあります。声帯が閉じにくくなり、振動が阻害されるため声が出しにくい状態になります。風邪や喫煙などによる炎症がきっかけとなってできることもあります。大きな声を出さずに、声帯の安静を保つことで自然治癒することも多いですが、声がれが長引く場合は放置せずにできれば耳鼻咽喉科を受診してください。

食事のときに味を感じにくいとか、味がおかしいと感じたら、味覚障害の可能性があります。炎症やカビなどの舌に見てわかる異常がある場合もありますし、体内の亜鉛不足や鉄欠乏性貧血の場合にも味覚障害が生じます。嗅覚障害は、副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎に関連した症状ならそれらの治療で治ることが多いため、通常の治療を行います。突然発生する嗅覚障害は、風邪のウイルスによって嗅細胞や嗅神経にダメージを受けている場合が考えられるので、点鼻薬や漢方薬での治療を試みます。風邪が治っても匂いを感じにくい場合などは、放置せずに耳鼻咽喉科の受診をおすすめします。

アデノイドは鼻の一番奥、喉との間の上咽頭にあるリンパ組織です。2歳頃から大きくなってきて6歳頃にもっとも大きくなります。8~10歳くらいになると小さくなっていき、ほとんどの人はそのまま消失します。アデノイド肥大により中耳炎、鼻づまり、いびき、睡眠時無呼吸症候群などを引き起こす場合は対処が必要です。お子様にこれらの症状が頻発する場合はご相談ください。アデノイド肥大があっても問題となる症状がなければ経過観察するだけで構いません。

風邪で声帯に炎症を起こした場合や、大きな声を出しすぎたことが原因で声がかすれる状態です。早めに治療すれば問題なく回復する場合がほとんどですが喉頭癌などの腫瘍、逆流性食道炎、声帯麻痺などが疑われるケースもあるので声がれが気になる人は耳鼻咽喉科にご相談ください。また、日常的に声を使う職業の方は声帯にポリープができることがあります。初期なら服薬で治ることがほとんどですが、ポリープができてから長い時間が経つと手術が必要になってきますので早めの診察がおすすめです。

咽頭・喉頭にできるがんは部位により、上咽頭がん、中咽頭がん、咽頭がん、下咽頭がんに分けられます。いずれも嗄声など喉や声に違和感があって診察に来られる方に見つかることが多く、がんの疑いがある場合は大きな病院で組織検査を行います。喉のがんは飲酒・喫煙の習慣がある方に多いですが、近年ではヒトパピローマウイルスが原因となる中咽頭がんが世界的に増加傾向にあり注目されています。アメリカでは急激に増えており、十数年後には一番多いがんになるのではないかとの予測もあり日本でも増加傾向にあります。

舌がんは舌の両脇の部分にできることが多く、口内炎と思って受診したらがんの疑いがあり組織検査でがんと確認されるケースがあります。舌がんは内臓と違って腫瘍の有無を見て確認しやすいので、異常を感じた時にすぐ専門医の診察を受ければ早期発見が可能な場合が多いです。